ポイント用アクセサリデコーダ(FPM Decoder2)

モータドライバTA7291Pで作る、「ポイント用アクセサリデコーダ(FPM Decoder2)」をご紹介します。紹介動画はこちらです。

ワンコインデコーダ4を利用したポイントデコーダはこちら
コンデンサ充放電のポイント用デコーダ(初版)はこちら、昇圧機能を内蔵したFPM3はこちらです。。

 

 左は当サイトで頒布している専用基板で製作した事例、右はユニバーサル基板に作成した事例、です。
 動作確認は、TOMIX製電動ポイント(PL/R541-15)、KATO製4番Nポイント、4番HOポイント、6番HOポイントで実施しました。

トピックス

2018.10.29 Desktop Station DSmain5 での動作相性を改善(サンプルソフト Ver2.0b)
2016.02.06 アドレス設定方法のCV書込みをサポートしました。(サンプルソフト Ver2.0a)
2015.04.04 部品とプリント基板の頒布を開始しました
2015.02.16 Youtubeにポイント用デコーダ(FPMDecoder2)の紹介動画を公開しました。
2015.02.14 Webによる紹介ページ公開開始。機能はDS52相当です。是非作ってみてください。
2015.02.08 Ver1.0開発。

はじめに...

 このデコーダは、ほとんどの直流2線式コイル式、3線コイル式のポイントマシンを制御することができます。
 ディップスイッチの設定を変更することで、スローモータ式のポイントマシンにも対応することができます。
 このデコーダ1個で2回路(回路A、回路B)までのポイントマシンを個別に操作できます。
 ねじ止め端子を使用していますので、電線の接続が容易です。(各社のポイント用コネクタは途中で切断して接続します。)
 DCCパケットの解析等、「ワンコインデコーダ2」の技術を応用することで作成しています。
 車載デコーダのように表面実装部品を使用していません。DIPやリード部品で半田付けも容易で、DCC自作入門用にお勧めです。

概要

 NMRA規格のコマンドを受信し動作するDCCのデコーダです。
 マイクロコントローラーには電子工作で人気のあるマイクロチップテクノロジー社のPICマイコンを用います。ポイント用デコーダの初版では8ピンのPIC12F629を使用していましたが、モータドライバ制御入力回路によるI/Oの増加、表示用LED回路変更に伴うI/Oの増加かた、14ピンのPIC16F630を使用を使用することにしました。DCC信号を正しく読み込ませるためにフォトカプラを使用しているのは初版と同じです。プログラムは、アセンブラソースとHEXファイルを公開いたします。
 電源には車載デコーダと同じくDCC信号電流を整流しDC12Vを生成しています。DC12V電源には保護用抵抗(47~51Ω)を装備しており、必要に応じて保護用抵抗をジャンプするジャンパ設定ピンを用意しています。
 マイコン回路自体は5V電源で稼動させるので、3端子レギュレータ78L05を搭載し、5Vの定電圧を生成しています。
 PICマイコンでDCC信号を解析し、ポイント転換を制御できる信号を生成します。ポイントマシンに流す電流を制御するために東芝製モータドライバTA7291Pを使用しています。保護用抵抗に加えて、TA7291P自体にも過電流保護機能があるので、誤作動時のポイントマシンの焼損を防止しています。(ただし過信は禁物です。)
 フォトカプラの逆耐圧制限用のLEDは線路電源表示灯としてDCC信号入力時点灯するようになっています。回路A、回路Bの「t」「c」の制御状態を各LEDで表示します。

特徴

回路図

   回路図(pdf)はこちら (2015.02.14更新)

 回路図です。EAGLEで作成しました。

回路の説明

 回路を簡単に説明しておきます。
 レールからの電力をブリッジダイオードを介して整流します。電流容量は大きいほうがよいのですが、ここでは1.5Aのダイオードブリッジを使用しています。整流した電源がポイント転換用の12Vの電源になります。
 ダイオードを介して47μFの電界コンデンサで平滑し3端子レギュレータIC(78L05)を用いてPICマイコンの電源となる5Vを得ます。ダイオードを介しているのはポイント制御回路の一時的な異常やノイズ等で5V電源が影響を受けにくくする目的です。
 レールからのDCC信号は1KΩの抵抗を介してフォトカプラに入力します。フォトカプラの逆耐圧制限用に赤色LEDで線路電源の表示を行っています。
 フォトカプラの出力はPICマイコン(PIC16F630)のRA5端子に入力します。マイコンでソフト処理されたポイント転換信号はRC1,2,3,4端子に出力されます。
 12V電源には保護用抵抗(47~51Ω/3W)を装備しており、必要に応じて保護用抵抗をジャンプするジャンパ設定ピン(JP1)を用意しています。双動(2台)以上のポイントの動作が電流不足で不安定になる場合はジャンパ設定ピンをショートしてみてください。
 TA7291Pによるモータドライバ回路を使用しポイント転換の電流を制御すると同時に、ICの過電流防止機能で誤作動時のポイントマシンの焼損を防止しています。
 一方、RA3端子はプログラミングジャンパーの設定状況用で、プルアップで通常時、GND入力でプログラムモードとなります。
 RA4は動作モードの設定用で、プルアップでコイル用の設定(転換時300msのみ電流を出力)に、GND入力でモータ用の設定(常時電流出力)となります。
PICマイコンの各端子の使用方法は次のとおりです。(入れ替える場合はASMソースを直してください。RA3が入力専用なことに注意)

部品リスト

 パーツ集めで秋葉原等の電気街に足を運ぶのも電子工作の楽しみのひとつですが、最近はネット通販を上手に利用し部品あつめをすることも便利かと思います。
 特に通販で特定のお店を利用しなければ入手できないパーツはありませんが、酸化金属皮膜抵抗器3Wは小型品(従来の2Wと同じサイズ)を、電解コンデンサ2200uFは直径12.5mmのものを推奨します。理由は周囲の部品との干渉からです。特殊な部品は無いと思いますので、頑張って集めて下さい。
 市販品と比較し安価にすることができました。
 また、リスト以外に「ハンダこて等の工具」、「スズめっき線」等の用意が必要です。

 アクセサリデコーダ部品表  

部品 No. 規格 仕様 個数 主な入手先 備考
抵抗 R1 不燃性酸化金属被膜抵抗(3W) 51Ω 1 秋月 47ΩでもOK。小型品推奨。
R2-6 炭素皮膜抵抗(1/6W) 1KΩ 5 秋月
R7-11 炭素皮膜抵抗(1/6W) 4.7KΩ 5 秋月
コンデンサ C1 積層セラミックコンデンサー 0.1uF/50V 1 秋月 リード線間隔2.54mm
C2 電解コンデンサ 47uF/25V 1 秋月
C3 電解コンデンサ 2200uF/25V 1 マルツ サイズ注意(直径12.5mm推奨)
IC IC1 3端子レギュレータ 78L05 1 秋月 相当品可
IC2 PICマイコン PIC16F630-I/P 1 秋月 ソフト書込み必要
IC3,4 モータードライバ TA7291P 2 秋月
ダイオード D1 ブリッジダイオード DI1510 1 秋月 相当品可
D2 整流用ダイオード 1N4007 1 秋月 相当品可
フォトカプラ PC1 フォトカプラ TLP621-1 1 秋月 TLP521等の相当品可
LED LED1 赤色LED 3mm 1 秋月 線路電源表示用
LED2,3 緑色LED 「t」表示用 3mm 2 秋月 tが緑色LED、cが黄色LEDの指定に
なっていますが、反対でも構いません。
LED4,5 黄色LED 「c」表示用 3mm 2 秋月
ピンヘッダ JP1 ピンヘッダ 1x40 1x2に切断 1 秋月 R1電流制限抵抗ジャンプ用
PH1 1x6に切断 1 専用プリント基板では不要
ジャンパピン JP1 2.54mmピッチ   1 秋月 電流制限抵抗ジャンプ設定用
端子 TB1-3 ターミナルブロック 2ピン(青)(縦)小 3 秋月 類似品注意(大小サイズ違い)
スイッチ SW1 DIPスイッチ 2P 1 秋月
ICソケット DIP 14P 平バネタイプ 1 秋月 丸ピンタイプでも可
基板 専用プリント基板 50x50mm 1 頒布 (部品込みで頒布しています)
片面ガラス・ユニバーサル基板Cタイプ 72x47.5mm 秋月 同じサイズの類似品に注意(穴数違い)
 基板は「専用プリント基板」もしくは「ユニバーサル基板」のいづれかを選んでください。」
 入手先のお店の情報はリンクのページからたどって見てください。

部品の概要

 アクセサリデコーダで使用する部品を紹介します。
酸化金属皮膜抵抗: 51Ω(もしくは47Ω)/3W小型


 ポイントマシン用の電源の電流制御するための抵抗器です。
 電力用抵抗器で容量は3Wです。従来の2Wと同じサイズの小型品を使用しています。
 部品の向きはありません。実装時はリード線を曲げて取りつけます。
炭素皮膜抵抗器 1/6W (1kΩ、4.7kΩ)


 誤差5%の炭素皮膜抵抗器の1/6Wタイプです。1/4Wの小型品(S2サイズ「)でも構いません。
 1本5~10円程度なのですが、100本で100~200円で入手できるので、袋でまとめ買いしています。
 抵抗値は部品に書いてあるカラーコードで判別できますが、小型品はカラーコードが細かいためにテスターでの確認をお勧めします。
 使うまで袋から出さないのが賢明です。部品の向きはありません。
積層セラミックコンデンサ


 3端子レギュレータの出力側には発信止めの意味で0.1μF/50Vを用いています。極性はありません。
 0.1μFは部品に「104」と表記されています。リード線の加工形状が2.5mmのものが小型製作に向いています。
 5mmのタイプでも、2.5mmでも、リード線をラジオペンチ等で整形すれば、どちらも相互に利用可能です。
電解コンデンサ : 2200uF/25V 、 47uF/25V


 ポイントマシンを動作させる電源を貯めるために電解コンデンサを用います。2200μF/25V品を使用しました。
 一般的な2200μF/25V品は直径が16mm程度ありますが、今回は直径12.5mmの品を使用しています。(写真がナナメなので16mmに見えますが。。。)
 16mmのものですと周囲の部品に干渉するので、なるべく12.5mmのものを使用してください。
 マイコン制御用電源の3端子レギュレータの入力には47μF/25Vを用いています。どちらも+-極性があります注意しましょう。
 足が長いほうが+(プラス)、短いほうが-(マイナス)です。
3端子レギュレータ:78L05


 3端子レギュレータとは電源ICの仲間です。
 変動する電源から、安定した決まった電圧の電源を生成する目的に用いられます。 部品の向きがあります。注意しましょう。
 (組み立て時の小型化から100mAタイプの78L05を指定していますが、1Aタイプの7805も使用可能です。ただし、ピン配列が異なるので注意が必要です。)

PICマイコン:PIC16F630-I/P


 PICとはマイクロチップテクノロジー社のワンチップマイコンのことで、電子工作ではよく利用されているマイコンです。
 プログラムの書き込みには、Pickit2等のマイクロチップテクノロジー社純正プログラマを使用します。
 PIC等マイコンは目的の動作をするようにプログラムを書き込んで使う部品です。プログラムを書き込まないで製作した場合は動作しません。
 頒布のページで頒布しているPICマイコンはプログラム書込み済みとなっています。

 1番ピン側に凹みがあります。注意しましょう。 部品の向きがあります。注意しましょう。
モータドライバ:TA7291P


 東芝製モータドライバICです。
 モータ制御回路でよく使用され、参考文献での採用例も多いです。部品の向きがあります。注意しましょう。
ブリッジダイオード:DI1510


 DCC信号を整流し、直流電力を得るためにブリッジダイオードを用います。DI1510は秋月電子で入手できるブリッジダイオードから700V 1.5Aのものを選びました。交流の入力側と直流の出力側が隣同士にならんでいるため実装に便利です。 部品の向きがあります。注意しましょう。
ダイオード: 1N4007


 整流回路用のダイオードです。外観と回路図記号の対象は写真のとおりです。 部品の向きがあります。注意しましょう。
 本機では、実装するときにリード線を曲げていますが、本体にストレスがかからないように注意して曲げましょう。
フォトカプラ TLP621-1


 1回路のフォトカプラです。 部品の向きがあります。注意しましょう。1番ピン側にマークがあります。
 TLP521-1、PC817C等の汎用の1回路フォトカプラが使用できます。
LED(直径3mm)


 直径3mmのLEDです。 部品の向きがあります。注意しましょう。
自分の好きなLEDを使って貰ってOKなのですが、実装スペースの関係で直径5mmは厳しいと思います。
(青色LEDは順方向電圧の関係で光らないかもしれません。)

ピンヘッダ(オス) 40P(1×40)


 電流制限抵抗をジャンプする設定用のピンヘッダとして使用します。ニッパで必要数を切断します。
 ピンヘッダにさすジャンパーピンは、電子部品店でも購入できますが、パソコンのパーツ売り場などでも売っていますし、
 HDD等のパソコンパーツから取り外したものを流用してもいいと思います。
ターミナルブロック 2ピン(青)小


 DCC線路電源の入力、ポイントマシンへの出力用の端子です。電線の差し込み口を基板の外側に向けて取り付けます。
 リード線が太いので、基板の穴に入りにくいかもしれません。その時は基板穴をドリルで広げてから挿入します。
DIPスイッチ: 2P


 プログラムモード設定用、動作モード設定用のDIPスイッチ(2回路)です。
 部品の向きがあります。(電気的ではなく、表示的にの意です。)
ICソケット:DIP14ピン(丸ピンタイプ)


 PIC16F630のプログラムを更新する際に基板から取り外せるように使います。1番ピン側に凹みがあります注意しましょう。
 安価な平ピンタイプでも構いません。

専用プリント基板


 頒布ページで頒布している専用プリント基板です。
 なるべく安価になるように、5cmX5cmのサイズになっています。 
ユニバーサル基板 Cタイプ ガラスエポキシ 片面


 ユニバーサル基板で製作する場合は、秋月で扱っている、Cタイプ ガラスエポキシ 片面 を使用します。
 類似品で両面があるので注意してください。両面タイプだと表面のジャンパがショートして正常に動作しません。
 紙フェノールタイプ製 より ガラスエポキシタイプ製 のほうが、穴数が多いので、ガラスエポキシを選びます。
 紙フェノールタイプ製では穴数が足りず、部品がすべて実装できません。 

製作方法(専用プリント基板編)

 「アクセサリデコーダ2」を頒布ページで頒布している専用プリント基板を用いて製作する方法を紹介します。
  1. 炭素皮膜抵抗、コンデンサの取付け
    R2~R6の1kΩ、R7~R11に4.7KΩ、C1に0.1uFを取りつけます。
  2. ダイオード、LEDの取付け
    すべて部品の向きがあります。注意してください。LEDはAが足が長い方です。

    写真では、tが緑LED、cが黄色LEDになっていますが、反対でも構いません。
    お好みに応じて、反対にしてもかまいません


  3. フォトカプラl、ICソケット、DIPスイッチの取付け
    向きがあります。注意してください。
  4. 酸化金属皮膜抵抗、ピンヘッダ、3端子レギュレータの取付け
    酸化金属皮膜抵抗は大きく重量もあるのでハンダを十分に流すとともに、温度が下がって固まるまで部品を動かさないようにします。
    3端子レギュレータは部品の向きがあります。注意してください。
  5. 電解コンデンサ、モータードライバIC、端子の取付け
    部品には向きがあります。注意してください。
  6. 電解コンデンサの取付け
    部品の向きがあります。注意してください。
  7. PICマイコンの挿入
    あらかじめプログラムを書き込んだPICマイコンをソケットに挿入します。
    部品の向きがあります。注意してください。

製作方法(ユニバーサル基板編)

 「アクセサリデコーダ2」をユニバーサル基板を用いて製作する方法を紹介します。
部品配置図
 表面から見た、部品配置図です。部品番号は回路図の番号と一致しています。

 図では、tが緑LED、cが黄色LEDになっていますが、反対でも構いません。
 お好みに応じて、反対にしてもかまいません


 各段階でこの図を確認しながら作業をします。

配線図(表側)
 表側からみた配線イメージです。
 青線は実際は裏面に配線されます。
 赤線は表側でジャンパーする線です。すずメッキ線やリード線の余り等で配線します。JP2~5の4か所あります。

 各段階でこの図を確認しながら作業をします。
配線図(裏側)
 裏側からみた配線図です。青線は裏面ですずメッキ線やリード線の余り等で配線します。
 (表側の図と左右が反転しています。注意願います。)

 各段階でこの図を確認しながら作業をします。
ユニバーサル基板製作でPICマイコンへソフト書込みを行う場合
 一番最初に、ICソケット(14ピン)とヘッダピンPH1を取りつけます。またICソケットとヘッダピンの間の配線を実施します。
 この状態でPickit2等で書込みを行います。部品をすべて実装してからでは、pickitが部品と干渉して刺さりません。
 当方では延長ケーブルのようなものを作成して部品実装後もマイコンへ書き込めるようにして開発を行いました。あまり長くすると正常に書き込めないようです。

サンプルソフト

 「ポイント用アクセサリデコーダ(FPM Decoder2)」のサンプルソフトです。
 通常はHEXファイルをPickit2等でPICマイコンに書き込んでください。書込み方法はこのページを参考にしてください。
 参考までに、ソースファイルも置いておきます。動作方式の解析、改良等に活用ください。MPLABでアセンブルしてください。
 動作しない場合の調整方法はソースファイル内に記述いたしますが、自己責任でのご利用をお願いします。当方でのサポートも致しかねます。
 すべてのDCC環境で、動作保証するものではありません。
 なお、著作権は主張します。改良版を作成される方は出典を表示のうえ、公開してください。その際、ご連絡をいたければ、リンクを張らせていただきます。
 (無断転載は禁止します。また、商業目的の利用も禁止とします。)
 尚、ファイルは右クリックし対象を保存を選択して下さい。そのままクリックして保存すると拡張子がtxtになる場合があります。

 (最新版Ver2.0b) HEXファイルはこちら 201810.29更新
 (最新版Ver2.0b) ASMソースファイルはこちら 2018.10.29更新

 (旧版Ver2.0a) HEXファイルはこちら 2016.02.06更新
 (旧版Ver2.0a) ASMソースファイルはこちら 2016.02.06更新

 (旧版Ver1.0) HEXファイルはこちら 2015.02.14
 (旧版Ver1.0) ASMソースファイルはこちら 2015.02.14

(DCC信号の0/1判定部はしみずさんのページのDCCデコーダを参考にしています。)

調整手順

 ポイントマシン、PICマイコンを外した状態で、DCC信号を入力し、LED1(赤)が点灯すること、各部の電圧が正しいか確認します。マイコンの電源ピンに5Vが出ているかを確認します。
 一度DCC信号を切り、プログラムを書き込んだPICマイコンを準備しソケットに挿入してから動作確認をします。
 動作確認の手順としてはDCC信号を正常に読み込めているかの検証を行います。線路電源をONにした直後はLED2~4(緑、黄)は消灯しています。切替操作が行われると操作方向のLEDが点灯します。
 初期状態ではアドレス001(回路A),アドレス002(回路B)が登録されているので、コマンドステーションからアドレス1や2で「t」「c」と制御してみます。LEDおよびポイントが切り替われば成功です。

アクセサリアドレス設定方法

 このデコーダのアクセサリアドレスは初期設定値として「回路Aは1」、「回路Bは2」に設定されています。
 アドレスを変更する場合は、「CV書込みにより設定する方法」と、「DIPスイッチ「1」を操作し設定したアドレス操作を行う方法」の2種類があります。
アドレス設定方法(CV書込みよる方法)
 コマンドステーションからCV書込みを行い、目的のアドレスを設定する方法です。
  アクセサリのアドレスや動作時間の設定、モードの設定はCV書込みで変更します。CVの書込みはPagedモード、Directモードに対応しています。

 回路AのアドレスはCV1とCV2、回路BのアドレスはCV5とCV6で設定します。
 設定したいアドレスとCV1とCV2、CV5とCV6の関係はコチラのファイル(pdf)を参照してください。

 例えば、アドレス61を回路Aに設定したい場合は、CV1=144、CV2=248を書込みます。

 なお、CV書込みを行う際にDIPスイッチ「1」をON側に設定しないでください。

 CV説明
CV番号 説明 初期値 詳細
10進 16進 バイナリ
CV1 回路Aアドレス(上位バイト) 129 81 10000001  回路A アドレス設定用
 初期アドレス:1
CV2 回路Aアドレス(下位バイト) 248 F8 11111000
CV3 出力作動時間 30 1E 00011110  初期値30  30x10ms=300m秒
 設定値x10m秒の間、ポイントマシンに電圧を出力します
 設定範囲 0~255 (0~2550m秒)
CV4 未使用 0 00 00000000  未使用
CV5 回路Bアドレス(上位バイト) 129 81 10000001  回路B アドレス設定用
 初期アドレス:2
CV6 回路Bアドレス(下位バイト) 250 FA 11111010
CV7 デコーダソフトバージョン 020 14 00010100  デコーダのソフトVerを示します。
 例:020(10進)->VER2.0
CV8 製造会社ID 156 9C 10011100  製造会社IDは156。(Manufacturer IDを取得しました。)
 CV8に8を書き込むとCVをRESETします

アドレス設定方法(DIPスイッチ「1」による方法)
 CV書込みによる設定は目的とするアドレスとCV設定値の一覧表が欠かせませんが、DIPスイッチによる方法は、一覧表がなくても設定可能な方法です。
 アドレスを変更する場合は、下記の手順で行ってください。
 正しく設定されなかった場合は、もう一度最初から行ってください。どうしても設定できない場合はCV書込みによる設定を推奨します。
  1. 線路電源をOFFにします。
    ※PICマイコンは電源投入時にモードの判別をしますので、必ずOFFにしてからはじめてください。
  2. ディップスイッチ「1」をON側にスライドさせて、アドレス設定モードにします。(RA3をGNDに接続します。 )
  3. 線路電源をONします。
    ※このとき線路電源をOFFしてから十分に時間が経過してから線路電源をONしてください。
    ※コンデンサに溜まった電荷によりマイコンが正常にリセットされない場合があります。
  4. 設定したいアドレスを、スロットルで回路A・Bの順番に選択して切り換え(操作し)ます。
    切り換え操作は、回路ごとに数回繰り返してください。
    回路Aのアドレスを選択し t ・ c キーを交互に数回押します。このとき回路AのLEDの点灯が変化したら回路Aの登録は終了です。
    続いて、回路Bのアドレスを選択し t ・ c キーを交互に数回押します。このとき回路BのLEDの点灯が変化したら回路Bも登録は終了です。
    (回路Aと回路Bは同じアドレスは設定できません。)
  5. 線路電源をOFFにします。
  6. ディップスイッチ「1」をOFF側にスライドさせて、アドレス設定モードを解除します。これで、アドレス設定完了です。
  7. ポイントを接続し、線路電源をONし動作確認すれば、使用可能です。
 ※アドレス設定が上手くできない場合は。。。
  本機は大容量電解コンデンサを搭載しているため線路電源OFFを行ってもしばらく電荷が残っているため、マイコンが動作維持している場合があります。
  DIPスイッチによるアドレス設定はマイコンを確実にリセットさせてから設定する必要があるため、線路電源のONは十分に時間を経過させた後に行ってください。
  アドレス設定時にコマンドステーションが意図しないアクセサリデコーダ用のパケット信号を送出する場合があり、この場合は意図しないアドレスが登録されてしまう場合があります。この場合は、アドレス登録操作を最初からやり直してみてください。
アドレス設定時にコマンドステーションが意図しないアクセサリデコーダ用のパケット信号を送出する場合があり、この場合は意図しないアドレスが登録されてしまう場合があります。この場合は、アドレス登録操作を最初からやり直してみてください。安定性の高いCV書込みによる方法もお試しください。

動作モードの変更方法(DIPスイッチ「2」)

 このデコーダは2つの動作モードを持っており、DIPスイッチ2にて切り替えます。
  1. DIPスイッチ2[OFF] ・・・ デフォルト設定
    コイル(ソレノイド)駆動式 ポイントマシン ・・・TOMIX、KATO、PECO等
    転換時300ミリ秒のみ電流が出力されます。
  2. DIPスイッチ2[ON]
    モータ駆動式ポイントマシン
     ・・・ レマコ等
    常時転換方向に電流が出力されます。
    この動作モードで、コイル(ソレノイド)駆動式ポイントマシンを絶対に接続しないでください。 ポイントマシンが焼損して発火の恐れがあります。
 動作モードの変更は線路電源をOFFとした状態で行ってください。
 動作モードは2回路共通設定です。回路A、回路B個別に動作モードの変更を行うことはできません。
 正しく設定されなかった場合は、もう一度最初から行ってください。

電流制限抵抗ジャンプ設定(JP1)

 このデコーダのポイント動作用電源(12V)には保護用抵抗(47~51Ω/3W)を装備しており、必要に応じて保護用抵抗をジャンプするジャンパ設定ピン(JP1)を用意しています。
 これは、ポイントマシンを2台(双動)、3台(3動)と同時に接続した際に、コンデンサの充電電流(電荷)だけでは動作が不安定になる場合があり、これに対応するためです。
 ジャンパ設定ピンをショートすると電源保護抵抗をジャンプします。

トラブル解決(調整方法ほか)  

 どうしても、DCC信号の読み込みがうまくいかないようなら、プログラムのソースファイルにある、読み込みタイミングの調整値を変更し、HEXファイルを作成しPICに書き込んでみてください。初期値は16進数で08です。ソースでは0x08と表記しています。これを0x07とか0x09等にしてみて試してください。大抵は初期値のままでOKのはずです。

 トラブル解決の進め方、掲示板に寄せられるFAQ等をPdfにまとめています。参考にしてください。
  WebNucky部品頒布(トラブル解決編)(pdf)はこちら

最後に...

 初版のポイントデコーダに続き、モータドライバを使用したデコーダを制作してみました。案外簡単にポイント用デコーダが自作できると思いませんか?
 配線ミスさえしなければ短時間で仕上がってしまいますから、時間をかけて丁寧に作りましょう。
 自分で作ったDCCデコーダで運転を思い存分に楽しみましょう!
 ポイント用デコーダがうまくできたら、車載用「ワンコインデコーダ2」にもチャレンジしてみてください。
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